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先日は茨城県にて、曳家岡本さんの沈下修正現場を見学させていただきました。 私自身、沈下修正の現場を見るのは初めてで、施工方法や既存建物の納まりを直に確認できたことは、大変貴重な学びとなりました。 現場では、土台の下部に厚い鉄板を敷設し、両側にジャッキを配置して建物を均等に持ち上げる「土台揚げ工法」での作業が進められていました。 特に、曳家岡本さんの手法では多数のジャッキを用いることで荷重を分散させ、土台や仕口に過大な負担をかけることなく建物を持ち上げることができるようです。 実際にジャッキを操作する際の感覚、加わる負荷、作業中に伝わる音の違いなど、熟練された職人ならではの技能や判断についても直接教えていただきました。 また、現場の清掃や整理整頓が徹底されている点も非常に印象的でした。 今回の建物は、以前に他業者によって一度移築されたものとのことです。 床下を拝見すると、基礎は土間コンクリートの上にI型の立ち上がりが打設されている状態でした。 しかし、建物荷重の影響により土間の端部が基礎ごと沈下し、その反動で土間中央部が盛り上がるように変形している状況との事です。 さらに、本来であれば基礎と建物を緊結するはずのアンカーボルトは折り曲げられており、建物との固定はされていませんでした。 そのため「ねこ土台」を設け、その上に建物を載せているだけで、移築の際に基礎との緊結は確保されていない状態となっていました。 さらに、床束の高さ調整も不均一に行われており、構造的な安定性に疑問が残る納まりとなっていました。 詳しい状況については、曳家岡本さんのブログにて詳しく紹介されています。 茨城県つくばみらい市で「処刑台広場の女」気分。 沈下の原因について岡本さんのお話によると、主な原因は「地盤の転圧不足」ではないかとのことでした。 加えて、建物脇には雨水を貯める大きな水瓶があり、調査時にも水が残っていたことから、地盤が常時湿潤状態になっていた可能性も指摘されました。 その弱い部分に梁や桁からの大きな荷重がかかり、沈下を招いたのではないかという考察です。 周囲は水田地帯で、特に隣地との高低差がある面が全体的に沈下していたようです。 また、境界に設置されたブロック造の土留めも、地盤への影響要因のひとつと推測されます。 今回の現場を見学して感じたのは、沈下修正の技術を学び、そこで得た知見をもとにお施主様と施工者の間の懸け橋となって、適切に監理・説明することの大切さです。
そしてそれ以上に、「沈下させない建物を設計・監理すること」が何より重要であるという点を改めて強く意識しました。 特に、地盤条件の適切な把握、擁壁や土留めの計画、構造計画と計算が、長期的な建物の安定性を左右します。 それらを見落とさず、確実に反映させることこそ、建築士に課せられた大きな責任であると痛感しました。 曳家岡本の皆さま、 大変お忙しい中、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。 コメントの受け付けは終了しました。
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