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昨日は、自立循環型住宅研究会 関東ゼミの第3回発表会に参加させていただきました。 群馬県・福島県・東京都などで高性能住宅を手掛けるトップランナーの方々による、入居後の実測データと課題、そして前年からの改善結果に関する発表が行われました。 どの事例も、しっかりとデータを取り、丁寧に分析・整理されており、非常に分かりやすい内容でした。 特に多くの発表で共通していた課題は「夏季の湿度対策」。 高断熱・高気密住宅であっても、夏の蒸し暑さや湿度のコントロールは依然として難しく、さまざまなケースを知ることができる良い機会となりました。 また、森こうすけさんによるボーナス事例発表もあり、空調の空気の動かし方やエアコンの設置のコツなど、実践的なアドバイスを多くいただきました。とても参考になる内容でした。 発表された各物件は、PDCAサイクルを経てさらに改善を図るため、グループごとに発表が行われ、森さんからも個別にアドバイスがありました。 こうした継続的な検証とフィードバックを通じて、より高い快適性と性能を目指す取り組みが進められていることを実感しました。 懇親会後は恒例の「日本一早い忘年会」。
年々いろいろな方とお話をさせていただき、有意義な情報や、日々の設計にも生かせるような貴重なお話をたくさん聞かせていただいています。 こうした交流の機会を通じて、改めてこの業界の熱量と深さを感じる一日となりました。 みどりのデザイン学校 第2回 大阪場所に参加してきました 今回は大阪にある「荻野寿也景観設計」さんの事務所と、植木の生産農家さんを訪問しました。 荻野さんの事務所 建物全体がまるで森の中に佇むように、 樹々に覆われていました。 内部にも植物が植えられており、 階段まわりには実験的に植栽を取り入れたスペースがありました。 光を取り込むトップライトと、 風の抜ける通風計画。 荻野さんの“建築と自然の共存”を体現した空間でした。 次に樹木生産農家「古川庭樹園」さんを訪ねました。 広大な敷地に、多種多様な雑木や常緑樹が立ち並んでいます。 荻野さんと古川さんから、広い敷地を歩きながら、 それぞれの木が持つ表情や育ち方、管理の工夫などについて 具体的な説明をいただきました。 荻野さんは、実際に採用される植木をすべて現地で確認しており、 日の当たり方や枝の向きなども見ながら、 どの方向に、どのような表情で植えるのが最も良いかを検討しているとのことでした。 アオハダ、ソヨゴ、ネジキ、ナツハゼ、ヒメシャラなどの落葉樹に加え、 オリーブやマツなども多く、園内は区画ごとに性質や育成段階が分けられ、 それぞれの木が自然な樹形を保つように整えられていました。 圧巻だったのはオリーブ畑。 数百本というオリーブたちが整然と並び、 一本一本が陽の光を受けて輝くように植えられていました。 品種や樹形もさまざまで、それぞれの個性が際立っていました。 その後の講義では、荻野さんより庭づくりに関する具体的な解説がありました。 造形の手入れや導入計画の重要性、手入れのタイミング、排水の大切さ、照明計画など、 実際の現場で培われた経験をもとに、わかりやすくお話しいただきました。 何よりも、たくさんの風景や植栽を見ることが大切であり、
日々の観察と経験の積み重ねが、庭づくりの原点であることを改めて感じる講義でした。 今回も貴重なお話をありがとうございました。 「木造軸組工法住宅の許容応力度設計 2025」通称グレー本が届きました。 定価12,100円。なかなかの厚みと重量感です。 届いたばかりの本ですが、早速“スパッと”裁断しました。 まず大きく30ページずつほどにカットし、その後、接合部分をきれいに切断。 使用しているのは CARL製のペーパーカッター。 切れ味がよく、断面もきれいに仕上がるので重宝しています。 スキャンには PFUのiX1300 を使用。 複合機でも読み込めますが、こちらの方が文字認識(OCR)が高精度で、両面スキャンが早いです。 スキャン後にPDF化したところ、文字情報も認識されており、 ドラッグ選択やコピーも可能な状態に。これで検索・比較がしやすくなります。 さらに、PDF化したデータは iPadにも同期。 クラウド上に保存しておくことで、 事務所でも現場でも、オフライン環境でもすぐにグレー本を開けるようにしています。 2017年度版との違いを確認するために、 NotebookLM や ChatGPT を使ってテキストを比較しながら変更点を確認しています。 細部まで自動で拾うのは難しく、手作業でページを行き来しながら確認する必要がありそうです。 構造塾で話題に出ている内容なども照らし合わせながら、 一つひとつ丁寧に見ていきたいと思います。 AIに一度データを読み込ませておけば、 分からない点や解釈の難しい部分などを質問するだけで教えてもらえるので、 とても重宝しています。 便利な世の中なりましたね。
新横浜で開催された「構造塾カンファレンス2025」に参加してきました。 佐藤実塾長率いる構造塾の年に一度の大交流会で、普段はZoomでやり取りしているグループコンサルメンバーの皆さんと直接お会いできる貴重な機会となりました。 佐藤塾長の講話では、「許容応力度計算」「耐震等級3」が広く普及しつつある中で、 今後はさらに構造計画のルール化を徹底していきたいとのお話がありました。 YouTubeチャンネルなどで「構造区画」をテーマに取り上げていることもあり、 最近では一般の方から 「自分の家の間取りの構造区画はどうでしょうか?」 という相談が非常に多く寄せられているそうです。 エンドユーザーの意識が高まる中で、設計者としてもより深く学び続ける必要があると感じました。 東京大学・前先生の講話 今回はご欠席とのことで動画での講話でしたが、その中で印象的だったのは、 「いまの住宅は性能としてはすでに十分なステージに達している。これからは“バランスの取れた普通の家”をつくること。そして、誰でもメンテナンスできる家であることが大切だ。」 という言葉でした。 確かに、最近は特殊な工法や複雑な納まりも増えていますが、いざメンテナンスの段階で対応できないと、住まい手にとって大きな負担になります。 “シンプルにつくる”ということの大切さを改めて実感しました。 全体交流会では、全国から集まった多くのメンバーさんと、貴重なお話をたくさん伺うことができました。一年ぶりの参加となりましたが、久しぶりにお会いした方々との再会もあり、新たなご縁もあり、とても充実した一日となりました。 改めて、このような貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。
岡山に来たので、岡山市内の建物をいくつか見学してきました。 まず訪れたのは、日本三名園のひとつ「岡山後楽園」です。 後楽園は、江戸時代に岡山藩主・池田綱政によって造られた大名庭園で、広大な芝生や池、築山が巧みに配置された回遊式庭園です。園内には、延養亭をはじめとする古い日本家屋がいくつも残っており、広い庭と相まって四季折々の美しい景色を楽しむことができます。 こうした昔ながらの、こじんまりとした建物は、どこか落ち着きがあり、とても魅力的に感じます。 自然との調和の中に美しさを見いだす日本建築の良さを改めて実感しました。 そして、ぜひ訪れてみたかったのが「流店」です。 この建物は、建築家・竹原義二先生の著書『竹原義二の視点』の表紙にも登場しており、以前から一度見てみたいと思っていました。 流店は、後楽園内にある茶屋の一つで、建物の内部を小川が流れる独特のつくりになっています。 建物の名の通り「水の流れを楽しむ」ための空間で、静かに流れる水音と、開け放たれた座敷から見える庭の緑が心地よく調和しています。 内部から眺める庭と軒先の低さのバランスが、何とも言えない心地良さを生み出していました。 建物のスケールや素材、そして自然との距離感の取り方に、日本建築の美しさと奥ゆかしさを感じました。 続いて訪れたのが「岡山城」です。 岡山城は、豊臣秀吉の家臣・宇喜多秀家によって築かれた城で、慶長2年(1597年)に完成しました。 外壁に黒い下見板が用いられていることから「烏城(うじょう)」とも呼ばれています。 戦災で一度焼失しましたが、昭和41年に再建され、令和の大改修を経て、現在は天守閣内部が資料館として公開されています。 この日はちょうどイベントが行われており、「鉄砲隊による演武」を見ることができました。 300年前の鎧を身にまとった侍たちが、当時の火薬を使って火縄銃を放つ姿は迫力満点。 轟音とともに白い煙が立ちこめ、会場は大いに盛り上がっていました。 天守閣からの眺めも楽しみにしていたのですが、窓が小さいため、外の景色はあまりよく見えませんでした。 現在は城内が資料館として、岡山城の歴史や復元の様子などを詳しく学ぶことができます。 そして次に訪れたのが「岡山県庁舎」です。 この建物は、巨匠・前川國男氏の設計により、1957年(昭和32年)に竣工しました。 戦後復興期の公共建築を代表するモダニズム建築で、鉄筋コンクリート造による端正な構成と、深い庇がつくる水平ラインが印象的です。 岡山市内にはこの県庁舎のほか、「林原美術館」や「天神山文化プラザ」など、前川氏の設計による建築が点在しております。 エントランスには迫力のあるピロティと回廊が設けられ、建物全体に重厚さと開放感を与えています。 黒い外壁部分はカーテンウォールで構成されており、当時としては先進的な意匠のようです。 その構造によって、自由な平面、自由な立面、水平連続窓が実現されています エントランス付近に行くと、チラシが貼ってあるのを見つけました。 よく見ると「おかやま 前川建築みてあるきツアー」の案内。 しかも、ちょうどこの日が開催日だったのです。 事前予約はすでに締め切られていたのですが、ダメもとで聞いてみたところ、なんと参加OK! おかげで、岡山県庁舎を見学させていただくことができました。 ル・コルビュジエによって提唱された「近代建築の五原則」 ①ピロティ、②屋上庭園、③自由な平面、④横長の連続窓、⑤自由な立面。 岡山県庁舎は、これらすべての要素を備えた建築となっており、前川國男氏が師コルビュジエの思想を継承した作品といえます。 2階のホールからは、サンクンガーデンを望む 窓のガラスは当時のままのガラスが使われており、表面がわずかに歪んで景色が柔らかく映ります。 サッシもスチール製のオリジナルのままで、時を経た素材の質感が感じられました。 内部にある食堂の一部には、かつて銀行として使われていた部屋が残っており、当時の壁や金庫の扉が今もそのまま保存されています。 壁の厚さは驚くほど厚く、重厚さを感じました。 また、この建物には3カ所の螺旋階段が設けられており、いずれも当時の姿のまま大切に保存されています。 当時としては最先端のデザインだったことが伝わってきます。 庁舎内の展示ブースには、建設当時に制作された縮尺1/200の模型が展示されていました。 当時は、石膏を削り出して一つひとつ手作業で作られたそうで、その精巧さと完成度の高さに驚かされます。 こちらは、現在の建物を再現した新しい模型です。 使用されている材料は、スチレンボードやプラ板など、現代では主流となっている素材です。 製作者の方は、当時の石膏模型をじっくりと観察しながら、その形状や質感をできる限り忠実に再現されたとのことです。 当時使用されていたカーテンウォールの実物も展示されていました。 昔のものはスチール製で、断熱材も入っておらず、冬場はとても寒かったそうです。 現在のカーテンウォールはアルミ製へと変更され、軽量化とともに断熱性能も大きく向上しています。 回廊の手すりに当時使用されていたホローブリックの展示。 現在は軽量化が図られ、構造的な負担を減らすことで建物全体の耐震性能の向上にもつながっているとのことです。 県庁職員の方でも普段は立ち入ることのできない屋上まで案内していただきました。 屋上からは、岡山城をはじめ市内を一望する素晴らしい景色が広がっていました。 お城の天守閣よりもはるかに眺望がよく、街並みや山並みまで見渡せる圧巻の眺めです。 さらに塔屋の展望室にも上がらせていただきました。 こちらは当時の県知事お気に入りの場所で、 「この屋上に案内すれば、瀬戸内海の鯛や備前平野のマスカット以上のご馳走である」 という言葉が残っているそうです。 螺旋階段を上り塔屋最上階へ 最上階の展望室からは、360度にわたって岡山市内を見渡すことができます。 この展望室の床は、上部構造から細い鉄骨ブレースで吊られており、床が揺れる仕組みになっています。 今でも多分珍しい構造的工夫であり、遊び心のある塔屋として設計されている点が印象的でした。 県庁舎の素晴らしい点は、耐震改修を行いながらも、当時の趣をそのまま活かしているところです。 今後50年の使用を見据え、構造体の中性化対策をはじめ、制震ダンパーの設置、大規模災害時に備えた電気・通信インフラの増強、浸水対策などが丁寧に施されています。 歴史的建築物としての保存と、現代的な安全性の両立が見事に実現されており、とても意義のある改修事業だと感じました。 続いて訪れたのは「林原美術館」です。 岡山の実業家・林原一郎氏の遺志を継ぎ、1963年(昭和38年)に岡山美術館として完成したもので、設計は前川國男氏によるものです。 前川氏にとって初めての美術館建築であり、手作業で積み上げられた不揃いな形状のレンガが特徴的です。 周囲の緑と調和しながら、落ち着きのある佇まいを見せていました。 内部のロビーからは庭を望む プレキャストコンクリートでつくられた手すりは、装飾的でありながらも落ち着いた存在感を放ち、 当時のスチールサッシがそのまま残る外壁は、時代の趣を感じさせる構造現しの仕上げとなっています。 エントランスとロビーをつなぐ位置に中庭が設けられており、建物内部に自然光を取り込む明るい空間となっています。 最後に訪れたのが「天神山文化プラザ」です。 この建物は、前川國男氏の設計により1962年(昭和37年)に「岡山県総合文化センター」として建設されました。図書館・展示室・ホールなどを備えた複合文化施設です。 南側では夏の日差しを遮るために横ルーバーが、北側では西日を防ぐために縦ルーバーが設けられており、 日射のコントロールと外観のデザインが一体となった合理的な構成になっています。 1階と2・3階はT字型に直行するように計画されており、 2階の下部はピロティとして開放され、広場のような空間を形成しています。 2・3階にかけて吹き抜けとなるロビー。 全面ガラスのエントランスが、建物全体に透明感と開放感を与え、何とも言えないかっこよさを引き出しています。 休憩所からは豊かな緑を望むことができます。 こうした内部空間から外の庭を眺められる構成が、とても魅力的だと感じました。 岡山市内には、本当に素敵な建物がたくさんありました。
まだまだ自分の知らない名建築も多いのだと思います。 よく歩き、よく見て、心も体も満たされた、とても有意義な2日間となりました。 みどりのデザイン学校 第1回 岡山場所に参加してきました 講師は、造園家・荻野景観設計の荻野寿也さん 今回は岡山市にある 福武トレス にて、レクチャーと庭園見学の機会をいただきました。 福武トレスは、1985年に福武書店(現・ベネッセコーポレーション)の創業者・福武哲彦氏が着想し、約10年をかけて完成させた「福武書店迎賓館」の庭園を前身とする施設です。 この庭園は、昭和を代表する作庭家 小形研三氏によって作庭された“雑木の庭”。 2023年、その庭が 荻野寿也さん の手により、当時の姿を尊重しながら再生されました。 「トレス(Tres)」とはスペイン語で“数字の3”を意味しており、 その名の通り、施設は Fサロン・Fギャラリー・Fスタジオ の3つの建物で構成されています。 Fサロンは、かつての「福武書店迎賓館・庭園」を当時の趣そのままに復元したエリアです。 伝統的な数寄屋造りの建物と、建物から望む雑木の庭が一体となり、静謐な空気を感じさせます。 荻野さんによって、当時とほぼ同じ姿で復元された庭。 幹の形状や苔の広がりまで、当時の趣そのままに再現されています。 デッキからは、前庭の池を望みながら、遠くに岡山の街並みや山並みを眺めることができます。 庭と風景がひとつにつながっているように感じられます。 丸窓から切り取られた庭の緑が、まるで額縁の中の風景画のように映ります。 敷地の中心に新築された Fギャラリー は、建築家ユニット TNA(武井誠氏・鍋島千恵氏) による設計。 コンセプトは「森に溶け込む建築」 全面ガラス張りの壁面により、外の風景が室内へと自然に流れ込み、 内部空間がまるで森の延長のように感じられます。 建物の構成は、庭の植栽の不等辺三角形と交わるように設計されており、 植木の配置と建築のかたちが互いに呼応しながら、 風景の中に溶け込むように存在しています。 この形状にも「トレス=3」という名が象徴する“三”の意味が込められているとのこと 建物を支える 358本の柱 は、庭木の幹に合わせて 直径38mm に統一され、 建築の存在を極限まで薄めながら、自然と調和する空間を実現しています。 内部では、福武哲彦氏が蒐集したアート作品が展示されており、 作品に合わせて、柱から持ち出したフレームにより展示物を“浮かせる”構成になっています。 構造計算まで含め、細部に至るまで緻密に計画されていることに驚かされました。 見学の途中で、Fギャラリーのカフェでコーヒーをいただきました。 その器やトレーにも、トレスの象徴である不等辺三角形の意匠があしらわれており、 細部にまで一貫したコンセプトが通っていることに感動しました。 今回のレクチャー会場となった Fスタジオ は、手塚建築研究所の設計による建物で、 もともとは 福武哲彦氏夫人のご自邸を改修したものです。 手塚さんの建築に直接触れながら、 荻野さんからは今回のプロジェクトの経緯や設計プロセス、 そしてプレゼンテーションの工夫など、実務にも通じる貴重なお話を伺いました。 建築と庭が一体となったこの 福武トレス で、
改めて 、緑と建築の関係 を見つめ直すことができました。 素晴らしい学びの機会をいただき、心より感謝いたします。 株式会社サトウ工務店の佐藤高志さん、ネイティブデイメンションズ代表の鈴木淳さんの講演に参加いたしました。 佐藤さんは、住宅の断熱性能や耐震性能が高まるのが当たり前になった現代において、他との差別化を図る上で「デザイン」の重要性が増していると語られました。 その本質は感覚的なものではなく、土地・構造・機能・用途といった要素の積み重ねから必然的に生まれるもの。 住宅は50年以上残るからこそ、流行に流されず、スタンダードでトラディショナルなデザインを丁寧に磨くことが大切だといいます。 構造が整えば自然と窓や壁の配置が美しく整い、結果として端正なデザインにつながる。 デザインは構造と機能に意味を持たせることから生まれると強調されました。 さらに、デザインは感性だけでなく経済的な力も持ち、企業の成長力や集客力につながると具体的な事例を交えて紹介されました。 鈴木さんは、デザインを「目的を整えること」と定義し、限られた予算の中で性能・意匠・機能を一体化させ、「一石三鳥」の設計を目指す重要性を語られました。 構造をシンプルにすることでコストを抑え、余裕を素材や設備に振り分ける。 性能そのものを造形のテーマとし、骨格の美しさから自然なプランが生まれるといいます。 また、鈴木さんは「標準仕様とは、他社との比較基準ではなく、自分が本当にやりたいことを形すること」と話されていました。 この言葉が特に印象に残りました。流行や相場に流されるのではなく、自分の設計思想を明確にし、それを一貫して発信し続けることの大切さを改めて感じました。 お二人に共通していたのは、 良いデザインは「センス」ではなく、積み重ねた「必然」から生まれるということ。 建物の形にはすべて、敷地や暮らしの課題を解決するための「理由」がある。 美しいデザインの土台には、安定した「構造(骨格)」が不可欠である。 「流行」を追うのではなく、基本に忠実で丁寧な「ディテール」が、長く愛される住まいとなる。 デザインとは、単なる造形や印象ではなく、課題を整理し、意匠と性能と構造のバランスを整えることだと、私も常に考えています。 トレンドに振り回されず、意味のある「必然のデザイン」を積み重ねていくことが、これからの時代に求められる建築のあり方だと感じました。 懇親会でもいろいろなお話を伺い、また多くの方と意見交換をすることができ、とても有意義な時間となりました。
貴重な機会をいただき、ありがとうございました。 先日、2日間にわたって開催された新住協の全国総会 長野大会に参加してきました。 全国から260名以上の会員が集まり、講演、会員発表、メーカー展示、そして見学ツアーと、とても濃密で学びの多い時間となりました。 鎌田先生の基調講演 年々気温が上昇しており、地域によっては2023年や2024年の方が2025年よりも暑かったというデータが紹介されました。 猛暑の中心となる7〜8月だけでなく、春〜秋にも気温上昇が続いており、 さらに夜間の気温低下も遅く、21時以降でも28℃を下回らない「暑い夜」が西日本を中心に増えているとのことです。 夏を快適に過ごすためには「24時間全室冷房が最も効果的」としつつも、 冷涼な地域では夜間通風で過ごせる日も多く、地域ごとに最適な設計と運用の工夫が必要と強調されました。 日射遮蔽や通風計画など、夏涼しい家の設計手法を改めて見直すことの重要性を改めて感じました。 長野支部会員のReborn 塩原さん、西川建築工房 西川さんからの断熱・耐震リノベーション事例の発表も大変参考になりました。 これからますます必要とされるリノベーションのポイントが具体的に詰め込まれており、とても実践的な内容でした。特に印象に残ったのは、2階建てを平屋建てにすることで構造上、申請上の大きなメリットが生まれるという点です。 これまで意識していなかった視点でしたが、今後の提案や計画に活かせる大きなヒントをいただきました。 夢・建築工房 岸野さんによる高性能賃貸住宅への取り組みについての発表も大変印象的でした。実例数も着実に増加し、投資も順調に拡大されているとのこと。 特に、新たな部屋間の界壁や界床の仕様については、普段あまり触れる機会の少ない情報で、とても参考になりました。何より、毎回のように技術やノウハウを惜しみなく共有してくださる姿勢には本当に感銘を受けます。 私自身も、今後は高性能賃貸住宅という領域に取り組み、地域に求められる新しい住まいの形を提案していきたいと強く感じました。 新代表理事となられた久保田さんによる所信表明もありました。 今後の新住協をリードしていく強い意気込みを感じさせるもので、これからの取り組みに大いに期待しています。 新たな体制のもとで、新住協の活動がさらに発展していくことを楽しみにしております。 その後の大懇親会では、全国から集まった多くの方々とご挨拶させていただき、とても充実した時間となりました。 特に、鎌田先生と久保田さんの 漫才のような 掛け合いが印象的で、会場全体が温かい雰囲気に包まれていました。 学びだけでなく交流の面でも大変有意義な懇親会で、改めて参加できたことに感謝いたします。 関係者の皆さま、本当にありがとうございました。 2日目の見学ツアー まず訪れたのは、アグリトライさんのセミオーダー住宅「手まりの家」 土地建物販売型の高性能分譲住宅で、設計と性能のバランスがとてもよく考えられていました。 外部にはACQ・K4処理による腐食しないウッドデッキを採用し、長期耐久性への配慮も印象的。 内部は天井高さ1.65mからの勾配天井が生む伸びやかな空間構成、 さらにエアコンのドレイン排水処理など、細部まで工夫が行き届いていました。 設計の工夫が随所に詰まった、とても素敵で参考になる住宅でした。 次に訪れた山本建設さんの新社屋兼モデルハウスは、「社屋でありながら住宅プランをベースにしたモデル建築」というコンセプトで設計された建物でした。 付加断熱によるQ1.0仕様で、外張り断熱材の固定にはKMブラケットを使用。 ブラケットは断熱材180mmにも対応できる製品とのことで、高性能住宅における納まりの工夫として大変参考になりました。 また、外部や塀に使用されていた木材はモカウッド(Mocawood)。 ノンケミカル・ゼロ酸素の熱処理木材で、カビや腐食の心配がなく、腐らない耐久性と反り・曲がりのない寸法安定性を実現しているそうです。含水率はわずか3%以下とのことで、その高い品質と美しさが印象的でした。 とても魅力的な素材と構法で構成された建物で、今後の設計にも大いに参考になりました。 最後に訪れたのは、遠野未来建築事務所設計 おやきファーム 信州の伝統食「おやき」の老舗が新たに展開した工場兼カフェ・直売所で、地域の風土と歴史を感じさせる建築でした。 建設残土や県産材を活用し、大地とのつながりを意識した有機的な形態が印象的で、 ウッドデザイン賞2023や長野市景観賞を受賞している素晴らしい建築でした。 ダイナミックなフレーム構造と、 木製のガラスカーテンウォールによる大胆で開放的なデザインがとても斬新でした。 この二日間で、本当にたくさんの学びと刺激をいただきました。
全国の会員の皆さまとも交流することができ、とても貴重で充実した時間でした。 また、運営・企画をしてくださった長野支部の皆さまには、心より感謝申し上げます。 この二日間を通して得た学びを、今後の設計活動にしっかりと生かしていきたいと思います。 本当にありがとうございました。 |
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