新川の家 気密シート張りが進んでます。 断熱工事が完了した室内はとても暖かく 大工さんは汗を流しながらシート張りを行っていました。 シートには WURTH(ウルト) 可変調湿気密シート ウートップ® SDヴァリオ ツヴァイ を使用しています。 一般的な防湿気密シートは、室内の壁や天井(屋根)にしっかり貼ることで、壁内や小屋裏への湿気や水蒸気の侵入を防ぐ役割を果たします。 一方、可変調湿機能を持つシートは、冬場は通常の防湿気密シートと同様に気密性を確保し、湿気を通さず、夏場になると、蒸し暑い外気が室内の冷気で冷やされて発生した湿気を、室内側へ移動させることで適切に放出します。 特に高温多湿な地域では、外気の蒸し暑い空気が壁内で冷やされ、断熱材内で結露が発生する「夏型結露」への対策が重要です。 ただし、夏に室内側へ移動する水蒸気量も無視できないため、慎重に検討を行いました。 建築用防湿フィルムを使用した場合、夏型結露を想定して屋根裏面の温度60℃、相対湿度20%、絶対湿度25g/kgDAという条件で試算しました。 この条件では、シートと断熱材の間で若干の結露が発生する可能性が確認され、湿気の流入量を計算すると、屋根100㎡で8.2g/時、24時間で約0.2リットルとなりました。 一方、可変調湿シートを使用した場合、同条件下で結露のリスクは解消されました。 ただし、湿気の流入量は増加し、約150g/時、24時間で約3.6リットルという結果になり、室内へ流入する水蒸気量としては無視できない量です。 これらの検討結果や、メーカーから提供された事例を踏まえ、夏型結露対策の重要性を改めて認識し、最終的に可変調湿気密シートの必要性を感じて採用を決定しました。 玄関木製ドアも設置され、順調に仕上がりが進んでいます。
㈲オストコーポレーション北関東主催 木製サッシのデザイン・製作・販売を手掛けるCURATIONER(キュレイショナー)/(株)山崎屋木工製作所の新工場見学ツアーに参加させていただきました。 新工場のサッシはすべて木製を採用されてます。 特に大型扉の木製引き分け戸は、扉一枚が約400kgもあるとのことですが、とてもスムーズに開閉できるのが驚きです。 山崎社長とスタッフの方々から工場の説明を受けた後、サッシ製作過程の解説と加工現場の見学をさせていただきました。 木製サッシの主な材種は長野県産のカラマツと木曽ヒノキ。 特にカラマツは狂いが激しいため、積層構造にして安定した使用が可能になるそうです。 加工は、プレーナーで表面処理された材を全自動CNCマシニング(全自動切削加工機)で行われます。 この機械で加工の99%が完了し、高い品質を安定して確保できるとのことでした。 形状の違う上枠と下枠の部材が、同時に数分で加工完了する様子を見学しました。 高度な精密加工技術に感銘を受けました。 組立状況 ホゾ加工の精度が非常に高く、狂いがほとんどないため、正確な対角が出るとの事です。 接合部には、表面をギザギザにして接着面積を増やす工夫も施されており、細部へのこだわりを感じました。 続いて塗装工程 塗装も全自動で行われます。 機械が形状をスキャンして大きさを確認し、形状に合わせ最適な塗装が行われます。 新しく採用されるRENNER社の塗料 半造幕半含侵で木目を美しく活かした仕上がりが可能との事です。 いただいたサンプル帳も素晴らしいものでした。 続いて打ち合わせスペースに移動しお話を伺いました。 レッドシダーのシングル葺きと無垢の鉄板外壁+木製サッシが調和した、とても素敵な建物 山崎社長から、これまでの歩みや木製サッシに取り組む経緯、製品への情熱、そして環境への配慮についてお話を伺いました。 規格品ではなく特別な製品を造る楽しさを語る姿に、ものづくりへの熱い想いが伝わり心を打たれました。 建物内部の壁に張られたランダム板 床に敷き詰められた木材 加工で出た端材を用いた壁材や床材が使われており、長く育った木材を無駄なく活用する姿勢に感動しました。 木製サッシの断面モックを拝見しました。 画像左側のものは標準の枠で、トリプルガラス仕様の80mmサッシ枠です。 木製サッシ協会などで使用されるスタンダードな56mm枠に比べ、より重厚であることが分かりました。 中間と右側のサッシは、パッシブハウスモデルの120mm枠です。 超高性能でありながら、見付け幅を大きくしすぎることなく、強度と断熱性能を確保するために試行錯誤を重ねて製造されました。 こうした製品づくりへのこだわりに、大変感銘を受けました。 宿泊地は長野県千曲市の戸倉上山田温泉。 紅葉が終わりかけの山々も美しかったです。 山崎社長におすすめいただいた温泉施設「万葉超音波温泉」を訪れました。 こちらは単純硫黄泉のかけ流し温泉で、超音波が発生する仕組みになっています。 入浴することで骨の温度が摂氏0.5度から1度ほど上がるそうで、体の芯からしっかりと温まることができました。 見学後の懇親会では、参加者の皆様と楽しいひとときを過ごしました。 翌日は、CURATIONERサッシを採用した2棟のパッシブハウスを見学しました。 最初に訪れたのは、パッシブハウスジャパン代表理事の森みわさんが設計した「追分の家」です。 パッシブハウスは、ヨーロッパの基準や設計手法を日本の気候や文化に適応させ、エネルギー効率が非常に高い建築基準を満たす住宅です。 「追分の家」は昨年6月にも一度見学し、初夏と初冬の異なる季節でパッシブハウスの快適さを体感させていただきました。 森みわさんからは、建築に対する情熱やデザインへのこだわり、機械設備への取り組みについてお話を伺いました。 住まいが変われば(エコハウス)、生活もエコに変わる。 「エコハウス」を提供する私たち建築従事者が、実生活で本当にエコロジーを考えているか? 衣食住を通じて、当事者意識を持ちながら家づくりをしていかなければならないというメッセージは、非常に心に残りました。 貴重なお話をありがとうございました。 続いて追分の家を施工された㈱新津組の「佐久平パッシブハウス」を見学させていただきました。 変則コの字のレイアウトで日射取得とプライバシーを両立し 大型のCURATIONERサッシがいくつも採用された迫力の建物 8.1m飛ばされた空間に設置されたCURATIONERサッシ 建物の構造も特殊な工法で設計されており、とてもダイナミックな空間が広がる素敵なお住まい。 パッシブハウスの温熱環境も素晴らしく、快適さを実感しました。 2日間にわたり、日本最高峰のサッシと建物を実際に見て、触れて、体感する貴重な機会をいただきました。
このような素晴らしい機会をいただき心より感謝申し上げます。 ありがとうございました。 CURATIONER https://curationer.jp/ 新川の家 屋根充填断熱材としてセルローズファイバーが施工されました。 セルローズファイバーには、次のようなメリットがあります
屋根は55k300㎜の厚みでセルローズファイバーを充填しました。 「新川の家」は、高断熱のQ1.0住宅で、以下の性能を実現しています。 Q値: 1.07 [W/㎡K] UA値: 0.25 W/㎡K(断熱等級7) また、施工業者の方が壁への断熱材充填の様子を分かりやすく示すために、モック(模型)を用意してくださいました。 昨日は、一般社団法人ミライの住宅主催の「住宅空調設計講座 北関東」にスポット参加させていただきました。 会場は埼玉県三郷市で、家づくり 舎ファミリーさんのお引き渡し直前の物件にて講座と換気の実測が行われました。 昨年の空調講座から、講義内容および各種計算シートもアップデートされており、検討すべき事項がさらに多くなっていることを知ることができました。 第一種換気 澄家の実測データを復習
スプレッドシートにまとめ、現地で交換効率がすぐ求められる様にしておきます。 懇親会でも有意義なお話を伺え、とても充実した1日となりました。 皆様、大変お世話になりました。 ありがとうございました。 新川の家 断熱工事が進んでいます。 壁の充填断熱に高性能グラスウール16K105mmを使用し、しっかりと充填しています。 外側には外張りの付加断熱も施し、壁断熱材の総厚は210mmのダブル断熱となっています。 外張り断熱は建物全体を外側から包み込むため、柱や梁といった構造材の部分から熱が逃げる熱橋(熱が通りやすい部分)を防ぐ効果があります。 これにより、断熱性能がさらに向上します。 また、樹脂サッシと躯体の間にもグラスウールを充填し、熱橋(熱が通りやすい部分)を極力減らす工夫をしています。
昨日、もくしるべ 第2回イベント 「近くの山の木 知ってますか?」に参加させていただききました。 このイベントは、群馬県みどり市で活動する「わたらせきになる会」と、伊勢崎市の剛工務店 生形さんを中心に始まった「もくしるべ」が主催し、群馬県みどり市の松島匠建さん協力のもとで開催されました。 会場となったのは、群馬県みどり市東町沢入にある松島匠建さん所有の山で、ここでは林業家の方々が間伐などの森林管理作業を行っています。 今回は、伐倒イベントに加えて、林業の現状や今後の展望について意見交換をする場も設けられました。 木の状況を説明する松島社長 午前中は山に入り、伐倒の見学でした。 少し雨が降っていましたが、伐倒の時にはほぼ雨も止み、無事に見学をすることができました。 林業家3名による伐倒のがスタート 伐倒には「受け口」「追い口」「ツル」などの伝統的な技術が用いられており、説明を受けながら実際に木が倒れる様子を見せていただきました。 倒す方向に「受け口」を設けます。 背面に設けた「追い口」にクサビを差し、叩いて調整します。 倒れるときの轟音と迫力は、自然の力を改めて感じさせるものでした。 倒す方向を初めに決め、まさしく寸分の狂いもなく見事予定位置に伐倒されました。 年輪を数えると樹齢約80年の立派な杉の木でした。 伐倒された木からは、杉の良い香りが漂ってきました。 伐倒の後はこの木をどの様に出荷するかの説明をされました。 午後には場所を移動し、意見交換会が行われました。 林業家の秋山さんからは、林業を始めたきっかけや仕事内容、現在の林業が抱える課題についてお話がありました。 秋山さんが実践する「自伐型林業」は、個人や小規模グループが自らの森林を管理し、間伐を通じて森林を健全に保ちながら、質の高い木材を生み出す持続可能な林業スタイルです。 林業は人手不足や高齢化、経済的な不安定さ、労働負担や安全性の確保、木材価格の低迷などの課題があります。 現在は補助金が重要な支えとなっている状況との事です。 今回の会には林業家、工務店、設計事務所、製材業、流通業、行政、出版社など多様な方が集まり、地域の木材の魅力をどう伝え、建物にうまく活用し、地産地消で地域を活性化させていくための取り組みについて意見を交換しました。 特に、地場の木材を建築に使う際の流通ルートの確保が今後の大きな課題です。 当社でも群馬県産木材を活用した住まいづくりを提案していますが、特に杉の梁材がたわみやすい点を考慮し、部分的にたわみに強いベイマツや長材の集成材を使用している現状があります。今回の意見交換を通じて、できる限り地場の木材で設計する必要性を強く感じました。 また、自社の山を活用して住宅づくりを行う松島匠建さんの取り組みにも改めて感嘆致しました。 さらに、林業家の伊藤さんは、伐倒後に使用されない木の部位をエッセンシャルオイルの製造・販売に活用する取り組みを行っていらっしゃいます。
杉やヒノキのほかに、赤松なども良い香りのオイルとして販売されており、みどり市の地場木材の新しい可能性を感じました。 貴重な学びの多い、有意義な機会をいただき、ありがとうございました。 秋山林業 https://www.instagram.com/akiyamaforestry/ foreal https://www.foreal.jp/ |
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