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みどりのデザイン学校 第1回 岡山場所に参加してきました 講師は、造園家・荻野景観設計の荻野寿也さん 今回は岡山市にある 福武トレス にて、レクチャーと庭園見学の機会をいただきました。 福武トレスは、1985年に福武書店(現・ベネッセコーポレーション)の創業者・福武哲彦氏が着想し、約10年をかけて完成させた「福武書店迎賓館」の庭園を前身とする施設です。 この庭園は、昭和を代表する作庭家 小形研三氏によって作庭された“雑木の庭”。 2023年、その庭が 荻野寿也さん の手により、当時の姿を尊重しながら再生されました。 「トレス(Tres)」とはスペイン語で“数字の3”を意味しており、 その名の通り、施設は Fサロン・Fギャラリー・Fスタジオ の3つの建物で構成されています。 Fサロンは、かつての「福武書店迎賓館・庭園」を当時の趣そのままに復元したエリアです。 伝統的な数寄屋造りの建物と、建物から望む雑木の庭が一体となり、静謐な空気を感じさせます。 荻野さんによって、当時とほぼ同じ姿で復元された庭。 幹の形状や苔の広がりまで、当時の趣そのままに再現されています。 デッキからは、前庭の池を望みながら、遠くに岡山の街並みや山並みを眺めることができます。 庭と風景がひとつにつながっているように感じられます。 丸窓から切り取られた庭の緑が、まるで額縁の中の風景画のように映ります。 敷地の中心に新築された Fギャラリー は、建築家ユニット TNA(武井誠氏・鍋島千恵氏) による設計。 コンセプトは「森に溶け込む建築」 全面ガラス張りの壁面により、外の風景が室内へと自然に流れ込み、 内部空間がまるで森の延長のように感じられます。 建物の構成は、庭の植栽の不等辺三角形と交わるように設計されており、 植木の配置と建築のかたちが互いに呼応しながら、 風景の中に溶け込むように存在しています。 この形状にも「トレス=3」という名が象徴する“三”の意味が込められているとのこと 建物を支える 358本の柱 は、庭木の幹に合わせて 直径38mm に統一され、 建築の存在を極限まで薄めながら、自然と調和する空間を実現しています。 内部では、福武哲彦氏が蒐集したアート作品が展示されており、 作品に合わせて、柱から持ち出したフレームにより展示物を“浮かせる”構成になっています。 構造計算まで含め、細部に至るまで緻密に計画されていることに驚かされました。 見学の途中で、Fギャラリーのカフェでコーヒーをいただきました。 その器やトレーにも、トレスの象徴である不等辺三角形の意匠があしらわれており、 細部にまで一貫したコンセプトが通っていることに感動しました。 今回のレクチャー会場となった Fスタジオ は、手塚建築研究所の設計による建物で、 もともとは 福武哲彦氏夫人のご自邸を改修したものです。 手塚さんの建築に直接触れながら、 荻野さんからは今回のプロジェクトの経緯や設計プロセス、 そしてプレゼンテーションの工夫など、実務にも通じる貴重なお話を伺いました。 建築と庭が一体となったこの 福武トレス で、
改めて 、緑と建築の関係 を見つめ直すことができました。 素晴らしい学びの機会をいただき、心より感謝いたします。 Comments are closed.
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10月 2025
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