六本木の新国立美術館で開催されている「リビング・モダニティ」展へ行ってきました。
新国立美術館は、建築家・黒川紀章の設計。
大きなガラス面と自由曲線で構成された内部空間は、視線と動線が交わり、建築そのものが「流れ」を生み出しているような印象を受けます。
展覧会は、20世紀前半から中盤、いわゆるミッドセンチュリーと呼ばれる時代の建築・家具・生活空間に焦点を当てたもの。建物や家具の形や素材といった表層的なデザインだけでなく、その背景にある「暮らし」や「思想」にまで踏み込んだ、20世紀の“住まいの実験”ともいえる展示構成でした。

展示は、「窓」「台所」「衛生」など、生活機能をテーマにしたゾーンで構成されており、それぞれの空間が暮らしとどう結びついていたのかが丁寧に語られています。

「窓辺」にまつわる展示では
​ル・コルビュジエがレマン湖畔に建てた小さな家「ヴィラ・ル・ラク」の水平連続窓と、テラスから湖を望む塀の開口が、実物大で再現されてました。
湖の風景を横長のフレームで切り取り、自然と一体になったような感覚を、身体スケールで体験できる貴重な展示でした。
ルイス・カーン設計「フィッシャー邸」の窓。
周囲の風景をダイナミックに取り込むように切られた大開口が再現されていて、その迫力に圧倒されました。
展示室には、こうした名作住宅の縮尺模型も数多く並んでいました。
開口部の取り方、景色との調和、屋根のかたちや建物のフォルムなど、写真や図面からでは気づきにくい建築の意図が、模型を通して感じられます。
模型の説得力、あらためてすごいなと感じました。
入場無料エリアである企画展示室2Eでは、ミース・ファン・デル・ローエの未完のプロジェクト「ロー・ハウス」が、クラウドファンディングによって世界で初めて原寸大で再現されていました。

「ロー・ハウス」は、1930年代からミースが構想していた中庭付き住宅(いわゆるコートハウス)の一つで、これまでは図面の中にしか存在していなかったものです。

実際にその空間に足を踏み入れると、独立した構造と壁に囲まれながらも、まったく閉塞感を感じさせない開放的な空間構成で、「自由な平面」というこの時代の建築思想が随所にあらわれていました。

構造・空間・内装が、それぞれ自立しながらも調和して一つの建築をかたちづくっている。
その自由さに強く惹かれました。

見学を終えて強く感じたのは、
「建築って本当に自由だな」と、先日見学した阿部 勤さんの言葉にあった​「正しく古いものは、永遠に新しい」ということ。

今の日本の住宅は、どうしても「間取り、間取り」で、壁と壁とで細かく空間を区切ることが当たり前になっています。
けれど、この展覧会で紹介されていた1920年代〜1970年代の住宅には、そうした発想がほとんど見られませんでした。

空間はもっとおおらかで、ひらかれていて、解放的。
「どう暮らしたいか」「どう在りたいか」といった思想を詰めた自由な建築がそこにはあった気がします。

図面や模型、原寸大の展示を通して、そうした建築家たちのまなざしや哲学が伝わってくる
そんな貴重な体験を与えてくれる展覧会でした。