自立循環型住宅研究会 関東ゼミの第3回発表会に参加させていただきました。

高性能住宅を手掛けるトップランナーの方々から、入居後の温湿度やエネルギー消費量などの実測データをもとに、見えてきた課題やその改善への取り組み、さらに前年からの改善結果について発表が行われました。

高断熱・高気密住宅では、建物の断熱性能を高めるだけでなく、冷暖房した空気をどのように家全体へ届けるか、湿度をどのように管理するかといった空調計画も欠かせません。

今回の発表では、それぞれの設計・施工者が実際の住まいで測定を重ね、試行錯誤されている様子が紹介されました。


丸山工務店 丸山拓也さん

「挑戦と苦悩と光 ーこれまでとこれからー」

群馬県太田市で工務店を営む丸山さんからは、これまでの取り組みや高性能住宅への挑戦について発表がありました。

住宅の温熱環境を学び、家づくりの方向性を変えてきた経緯とともに、実際の住宅で測定した夏と冬の温湿度データを紹介。

特に、群馬県特有の夏の猛暑や冬のからっ風に対し、換気量の調整やエアコンの運転方法によって室内環境がどのように変化するのか、興味深い内容でした。


株式会社深沢 深澤健さん

「壁掛エアコン2台×ダクトレス第1種換気システムの可能性 ’26 夏」

自宅兼モデルハウス「みちくさの家」で、2024年から3年間にわたり測定された温湿度や電気使用量などのデータを紹介していただきました。

夏場の2階の温湿度上昇に対し、すだれによる日射遮蔽やサーキュレーターの配置、換気システムの運転方法などを工夫。

特に、夜間に外気を取り込むナイトパージの運用について、実測をもとに検証されていた点が印象に残りました。


渡辺工務店 渡辺一紘さん

「室温・湿度の実測結果を空調設計シートに照らし合わせ、空気の混合や温湿度変化を検証」

福島県伊達市の住宅「hygge #002」を題材に、実際の室内温湿度と空調設計シートによる計算結果を比較した発表でした。

階段や吹き抜けを通じた空気の移動量、室内干しによる湿度への影響などを数値で検証。

空調計画は経験や感覚に頼る部分もありますが、計算による予測と実測結果を照らし合わせることで、より再現性のある設計につなげていく取り組みが紹介されました。


北村建築工房 浅見英輝さん

「床下エアコン × ロフトエアコン 自邸 Kinari Hut の冬・夏の温湿度と電気使用量」

浅見さんからは、ご自宅「Kinari Hut」における床下エアコンとロフトエアコンを活用した空調計画について発表がありました。

冬は床下エアコン、夏はロフトエアコンを中心に家全体の温湿度を管理。

カーテンボックスや吹き抜け、室内の開口部を利用して空気の通り道をつくり、エアコンや給排気口を目立たせずに室内環境を整える工夫が紹介されました。

建築の意匠と空調計画を一体で考えられている点も参考になりました。


ミライの住宅 森亨介さん

「大型和風住宅のリノベーション・高断熱化」

最後は森さんによる、築40年を超える大型和風住宅の断熱・耐震改修事例です。

既存住宅では新築と異なり、建物の構造や施工条件によって気密性能を確保することが難しい場合があります。

今回の事例では、断熱改修とともに、建物の隙間から出入りする空気も考慮した換気計画について紹介されました。

既存建物の条件を踏まえながら、どのように室内環境を改善していくかという内容でした。


グループディスカッション

事例発表の後には、グループに分かれてディスカッションを行いました。

私は北村建築工房の浅見さんのグループに参加しました。

浅見さんのご自邸「Kinari Hut」について、土地選びから設計に至るまでのプロセスや、細かな納まりなど、発表だけでは聞くことのできないお話をいろいろと伺うことができました。

特に、エアコンや換気設備などの機器類を、意匠を損なわずにどのように建築の中へ納めていくかという工夫は、大変参考になりました。

また、第3種換気における給気口の配置、空気の流れのつくり方についても色々と伺い、新たな学びがありました。

空調性能だけでなく、建築としての美しさや空間の心地よさをどのように両立させていくか。設計の細かな部分までお話を伺うことができ、とても有意義な時間となりました。


懇親会では、恒例の「日本一早い忘年会」

空調計画やAIの活用など、さまざまな話題で盛り上がり、日々の設計にも活かせる貴重なお話をたくさん伺うことができました。

こうした交流を通じて、新たな発見やさまざまな知見を得ることができ、とても有意義な一日となりました。

ありがとうございました。