住宅デザイン学校の建築視察ツアーに参加してきました。

1日目は新潟県上越市へ。

暮らしの工房・岡沢さんが手掛けられた3棟の住まいを見学させていただきました。


最初に訪れたのは「田園風景と奏でる住まい」

周囲を水田に囲まれ、遠くの山並みまで見渡せる素晴らしいロケーションに建つ住まいです。

建物の南北に視線が抜け、室内のどこにいても外の風景を身近に感じられる計画となっていました。

中でも印象的だったのが、ソファに腰掛けたときに南北へと広がる景色と、南側に配置されたキッチンからの眺めです。

大きな窓からは田園風景がパノラマのように広がります。

お施主様にお話を伺うと、

「ここに立つことで、嫌いだった洗い物が楽しくなりました」

とおっしゃっていたのが、とても印象に残りました。

日々繰り返す何気ない家事の時間も、窓から見える風景によって楽しい時間に変わる。

住まいの設計が暮らしそのものを豊かにしていることを感じました。

また、住まいと仕事場の間に設けられた半屋外のベンチも、とても心地よい場所でした。

内でも外でもない場所に、ちょっと腰掛けられる場所がある。

それだけで暮らしの中に新たな居場所が生まれることを感じました。


2棟目は今年のエコハウス大賞にノミネートされた「風景を架ける屋根の住まい」

コンパクトな大屋根の二階建てで、室内の至るところに「こもり感」のある居場所がつくられていました。

特に印象的だったのが、ダイニングから東側の庭へのつながりです。

低めに設けられた掃き出し窓の先には、さらに高さを抑えた軒下空間があり、その先に庭が広がります。

低い軒によって視線の先を適度に切ることで、外へ大きく開きながらも、庭には落ち着いたプライベート感が生まれていました。

そして、とて心地よさそうな所が階段下を利用した約一畳半の畳スペースです。

コンパクトな空間ですが、窓の先には北側の庭が広がり、包まれるような「こもり感」と庭への開放感が同居しています。

決して広くなくても、ずっとそこに居たくなる。

家の大きさではなく、心地よい場所をどのようにつくるかということを改めて考えさせられました。


3棟目は、岡沢さんのご自邸でもある「風景と暮らす池畔の家」

造園家・荻野寿也さんが手掛けられた庭と、板張りの建物が美しく調和し、木々の中に建物が静かに佇む姿がとても印象的でした。

リビングダイニングには南北に大きく開く一本引込みの木製サッシが入り、室内にいながら木々に包まれているような感覚があります。

特に北側のデッキは、建物と隣地との距離を自然と取れるようにつくられていて、リビングから眺める緑が本当にきれいでした。

1階のLDKにもさまざまなスペースが組み込まれており、本当に居場所の多い、豊かな空間構成だと感じました。

さらに印象に残ったのが、2階の子ども部屋です。
幅1.8メートル、5畳ほどの細長い子供部屋の使い勝手の良さもさることながら、その二部屋の間に設けられた畳の間がとても印象的でした。

この畳の空間と、その先に設けられた窓との関係がなんとも心地よく、単なる子供部屋というよりも、家族が自然と集まったり、一人で静かに過ごしたりできる、まるで「巣」のような居場所に感じました。


3棟を通して特に印象的だったのは、住まいの中にさまざまな「居場所」がつくられていたことです。

窓や軒、庭を通して風景との心地よい距離感が生まれ、家の中には自然と居たくなる場所がいくつもありました。

その日の気分や季節に合わせて過ごす場所を選べる、そんな暮らしの豊かさを感じることができ、とても勉強になりました。

見学後の懇親会では、伊礼先生をはじめ、全国から参加された設計者の皆さんと建築や住まいづくりについて、いろいろなお話をすることができ、とても有意義な時間となりました。

貴重な建物を見学させていただいたお施主様、そして岡沢さん、本当にありがとうございました。

2日目へ続きます。