近年の断熱性能の指標の一つ Ua値(外皮平均熱貫流率) Ua値(外皮平均熱貫流率)は、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。 熱損失の合計を外皮面積で除した値で、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。 昨今はハウスメーカーや工務店もUa値を断熱性能の宣伝としており、 最近はお客様から「Ua値はどのくらいですか?」と聞かれる事も多くなりました。 Ua値で性能を比較する「Ua値勝負」が広がりつつあるなかで 気をつけなければならないのは Ua値が優れていても、必ずしも暖かい家になるとは言えない という事です。 そもそもUa値を良くする(小さくする)事は簡単で、窓を極力小さくする事で可能となります。 理由は、高性能なサッシでも壁の断熱性能の1/5から1/10位の断熱性能なので、 単純に窓が少なくなれば断熱欠損が少なくなります。 シミュレーションソフト「ホームズ君 パッシブ設計」を使用し検討してみます。 左の設計プランは南側に2間の掃き出し窓 右の比較プランは南側に1間の腰窓として、設計プランに比べ開口面積が1/4となっております。 検討のためその他に窓を設けず、他の項目は同じとしております。 Ua値を見ると 両方ともHEAT20 G2(新しい6地域)以下となっております。 窓を小さくした比較プランは地域4のG2レベルとなりますので結構な高性能となります。 窓を小さくするだけでUa値が改善されるのが分かります。 2プランを無暖房として室温をシミュレーションすると Uaの大きい(断熱性能値の低い)設計プランの室温は 19℃ Uaの小さい(断熱性能値の高い)比較プランの室温は 14.2℃ となりました。 数値と結果が逆になりましたね。 理由は日射取得のエネルギーの違いです。 窓からの日射取得エネルギーを単純比較すると 2241-802=1439kwh(年間)となります。 2.2kwエアコン(6畳用)で暖房したとすると 1439/2.2=654時間分の暖房エネルギーを南側の窓から取得している事になります。 今回は日射取得の良い群馬県で、周りに何もない状況でのシミュレーションでしたが 敷地の前に家があり日陰になる場合や 建物に凹凸があり自分の家で日射が阻害され日が入らないなど、窓を大きくするから暖かくなるという事にもなりません。 暖かい家にするには数値だけではなく、敷地に対しての日射、日影を考慮して敷地の環境を読み込み、 窓の性能、大きさなどを含め、バランスを整えた設計をする事が大切だと思います。
0 コメント
あなたのコメントは承認後に投稿されます。
返信を残す |
カテゴリー
すべて
アーカイブ
10月 2024
㈱POTOS DESIGN OFFICE
|